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#中東欧編集者招へい2024

チェコ共和国ニコラ・コホヴァー / ホスト出版
Nikola Kochová / HOST-vydavatelství

WEBサイト

日本での出会いが日本書籍出版の可能性を広げてくれた

ニコラ・コホヴァー(Nikola Kochová)
翻訳部門 翻訳権取得担当マネージャー

ニコラ・コホヴァーさんの写真

日本の書籍に関わる人との人脈形成を求めて

ホスト出版はチェコで最も大きな独立系出版社の一つ。約30年にわたって、チェコおよび世界の現代文学を出版しています。小説、SFとファンタジー、犯罪小説、スリラー、児童文学、ポピュラー・サイエンス、詩歌などジャンルはさまざまで、年間およそ160タイトルを刊行しています。

翻訳部門で翻訳権取得担当マネージャーをしているニコラ・コホヴァーさんは「主にヨーロッパで出版されている大人向けの一般フィクションに興味がありますが、韓国など他の地域の本を手がけたこともあり、日本文学について知ることを楽しみにしています」とプログラム(2023年度中東欧地域編集者グループ招へい事業)に参加。日本の出版市場と現在のトレンドについて理解を深めること、日本の出版社や文芸エージェンシーをはじめとする書籍ビジネスに関わる専門家とのネットワークを築くことを主な目的としていました。また、ホスト出版では、社会の変化や歴史的な出来事の中で日常を描いた女性作家の翻訳作品シリーズを始めたとのこと、日本からも、20世紀以降の社会的発展の中で女性たちがどう生きたかを描いた作品を加えたい、と話していました。さらに、ホスト出版は大人向けのマンガの出版も始めたばかりで、マンガにも興味があるということでした。

プログラムでは目的以上の成果を獲得

日本の出版社とは、個人的なつながりや紹介がないとビジネスを始めるのは難しいと聞いていたコホヴァーさん。プログラムでは、講談社と文藝春秋社を訪問したほか、日本の出版社との交流会や懇親会では、多くの日本の出版社やエージェントに出会いました。日本の出版社との出会いを通じてコホヴァーさんは、「日本文学には、世界の読者にも読まれうる普遍的なものがあり、ポテンシャルを感じました」、「日本の読者によく読まれている作品を知ることもでき、日本文学についての視野が広がりました」と話します。そして、東京で知り合った多くの出版社やエージェントと現在も直接連絡を取り合っているそうです。また、日本の書籍市場や出版制度についても理解が深まったとのこと、日本では同じ一人の作家の作品が複数の出版社から出版されること、そして作品ごとに異なるエージェントや出版社がいる、という点で、日本とチェコの出版業界が大きく違うことにも驚かされた、と話していました。

ニコラ・コホヴァーさんの写真

日本の出版社とのネットワーキング交流会にて

他の編集者にもプログラムへの参加を勧めたい

「今回のプログラムで、私たちホスト出版は多くの魅力ある書籍と出会うことができました。出版ポートフォリオという意味でゲーム・チェンジャーとなったのです」と話すコホヴァーさん。このプログラムに参加する前に出版していた日本の書籍は、平出隆著『猫の客』の1冊のみでしたが、プログラムを経て、日本の漫画をチェコ市場向けに新たに扱うことになり、新しい日本の文学作品にも出会うことができたといいます。他の中東欧地域からの参加者たちと日本の書籍についての情報交換をしたり、お互いの経験を共有したりできたことも非常に実りあるものだったそうです。「私たちの出版社にとって、重要かつ必要な旅でした。日本文学に興味のあるヨーロッパの編集者に、このプログラムを推薦したいと思います」と話してくれました。

チェコへ帰国後に提出されたレポートはこう締めくくられていました。「新しい友人と出会い、日本を好きになりました。日本文学、日本文化にとても興味が湧きました。夫と今年の休暇の計画を変更し、東京行きのチケットを購入するつもりです」。

『猫の客』の書影

平出隆『猫の客』チェコ語版

ニコラ・コホヴァーさんの写真

豪徳寺にて

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